きみだけに聴こえる声で話したい

nicoicon(designworks)倉又美樹のブログ 

160512 いつかのだれかからいつかのきみに

最近、どうしてた?って聞かれるとなにもしてなかったような毎日頑張っているような気持ちになる。というのも何をしていてもなにをしていなくても毎日は過ぎていくもので、淡々とやるべきことをやるだけだから。過ぎてしまうと、何をしていたのかわからなくなってしまう。どうだっけね。なんだっけね。何を言っても残してはいけない気になってしまって発言を消してしまったりとか、する。ずっとずっと前に好きだった人はwebに日記をアップして、それをすぐに全部消してしまう人だった。その消してしまう言葉をがんばって集めたこともあったけど、いまは全部残っていない。残るものなんてなにもないんだよ。交わしたメールだってケータイを変えてスマホにしたときに全部消えてしまうから、そのようにして、こうやってすべてを平坦に、波風が立たないようにして毎日を過ごす。その時の熱や光やかがやきは全部熱量をうしなってグレーの、燃え尽きた薪みたいになっていく。

 

むかしむかし美術の勉強を始めた時自分がぜんぜんセンスがないことやがんばっても絵の具がうまく混ぜられないことが死ぬほどコンプレックスで、平面構成がすごくいやだったんだけど、何の因果か最近絵を教える仕事をすこしだけしている。そしてむかしむかしの絵の具がうまく混ぜられなかった自分によく似た子を見て、「ああ、絵の具うまく混ぜられなくてもあきらめなかったら絵の具のかわりにPCで絵もかけるし、絵の具を混ぜるのだってうまくなるんだな」って思った。だから絵の具をうまく混ぜられないけど日々のきらきらや綺麗な色やまぶしい光のことが好きで好きでたまらない子は、うまくできなくても絵の具をがんばって混ぜてほしい。うまく混ざらない絵の具がいつかどこかにあなたを連れて行ってくれることもあるから。